平成21年6月5日金曜日

ブラジルの学校制度―教育の格差、社会格差

ブラジルの学校制度は主にensino fundamental (小・中学校に相当する「基礎教育」)、ensino médio(=日本の高校)及びensino superior(=大学)に分けられる。いずれも、学費が完全無料の公立学校と、有料の私立学校がある。

ブラジルの基礎教育学校では、私立学校は公立学校よりはるかに品の高い教育が提供される。最近サンパウロ州で行った調査では、同じ低所得世帯の学生の中でも私立校生の方が学力が高いことがわかった。つまり安い私立学校でも一般の公立学校よりレベルが高いようだ。

一方、高等教育では状況が違う。学費が無料の公立大学のほうがレベルが高く、私立大学には良い機関もあれば、一般的に公立学校との格差が大きい。

低所得世帯の学生のほとんどは基礎教育を公立学校で受けるしか選択肢がないので、公立大学の入学競争では不利になる。私立大学の場合は入学は比較的簡単だが、学費が高い。その結果、学費を支払うために、仕事をしながら大学の夜間コースを受けることは決して珍しくない。ここで言う「仕事」はアルバイトではなく、正社員としての仕事だ。

ブラジルは文字通りの学歴社会だ。学力が高いほど給料が高く、失業率が低い。公立学校と私立学校の間にあるギャップは、社会的アンバランスにつながると考えられる。

0 件のコメント:

コメントを投稿