平成21年7月27日月曜日

ブラジル、日本式警察を導入

犯人狩りばかりでなく、市民と力を合わせて防犯。日本の警察の決定的な協力を通じてブラジル各州の警察は地域活動の向上を目指している。
1999年にサンパウロ州軍警察(1)及びブラジル公安局はJICAと提携を結び、「交番システムに基づいた地域警察活動普及プロジェクト」を実施している。サンパウロ州ではよい結果が段々と現れており、2008年の提携更新ではサンパウロ州は日本人警察官の監督で他州へのいわゆる「交番システム」の普及講座や研修を担うことになった。
日本では、交番・駐在所による地域警察活動は明治時代から存在するもので、その特徴は警察官と市民との密着した関係である。警察官は住民から地域のニーズを直接聞くので、適切な防犯対策に取り組むことができる。一方、ブラジルでは「犯人狩り」の習慣がまだ根強く、軍警察官の仕事は手当たり次第の事件の対応やパトロールが中心である。
近年の世界中からの地域警察活動に対する関心に合わせて、サンパウロ州は1997年から軍警察権力の分散化及び警察官と市民との接近のために努力してきた。やはり新しい勤務方法に慣れるのは簡単ではない。現在、サンパウロ州軍警察職員の10%も地域活動に関わっていない(日本ではその割合は35%に及ぶ)。
しかし、今までの結果はこれからの励みになっている。1997年から2000年の間に行われた調査で、地域基地(「交番」)が所在する地域の犯罪増加率は相対的に他の地域より低いことが分かった。1991年から2005年までの間、国連が世界一危険な地域としていたサンパウロ市Jardim Ângela (ジャルヂン・アンジェラ)地域では一年あたりの殺人事件が75%も低下したことはサンパウロの「交番」の成功の代表的な例である。
現在、サンパウロ州には54の都市地域基地(交番)と29の地方地域基地(駐在所)がある。サンパウロ州軍警察、ブラジル公安局とJICAの現在の目標は2010年までにブラジル各州の警察官360人を「交番システム」を普及するために養成することである。
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(1)ブラジルでは、警察は「軍警察」(Polícia Militar) と「民事警察」(Polícia Civil)に分けられている。軍警察は軍隊と関係はなく、組織として軍隊に似ているだけである。活動範囲の違いを簡単に言うと、軍警はパトロール、機動など、民警は捜査や情報管理が中心である。

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